8クイーン問題: 置ける場所を試して戻ろう
8クイーン問題は、8×8のチェス盤に8個のクイーンを置き、どのクイーンも互いに取られないようにするパズルです。
クイーンは縦、横、斜めに動けます。つまり、同じ列や斜めに別のクイーンがある場所には置けません。
使いどころ
- 条件を満たす配置を探す問題
- 再帰関数の練習
- ダメなら一つ前に戻る「バックトラッキング」の理解
手順
- 上の行から順番にクイーンを置く
- その列と斜めが安全か調べる
- 置けるなら次の行へ進む
- 進めなくなったら、前の行へ戻って別の列を試す
図で見る
コピペ用コード
N = 8
board = [-1] * N
def is_safe(row, col):
for r in range(row):
c = board[r]
if c == col:
return False
if abs(row - r) == abs(col - c):
return False
return True
def solve(row=0):
if row == N:
return True
for col in range(N):
if is_safe(row, col):
board[row] = col
if solve(row + 1):
return True
board[row] = -1
return False
solve()
print(board)
コードの読み方
board[row] = colは、その行のどの列にクイーンを置いたかを表します。is_safe()で、同じ列と斜めにクイーンがいないか確認します。solve(row + 1)が失敗したら、board[row] = -1で置く前の状態に戻します。- 斜めの判定
abs(row - r) == abs(col - c)は、「行の差と列の差が同じなら斜め45度の線上にある」という性質を使っています。
計算量
行ごとに1個ずつ置くので「同じ行」の衝突は最初から起きません。単純に8個のマスを全部試すと (64^8)(約2.8京)通りですが、バックトラッキングでダメな枝を早めに切ることで、実際に調べる配置は数千通りまで減ります。
- 8クイーンの解は 92通り(回転・鏡映を同じとみなすと12通り)あります。
別パターン1: 盤面を絵で表示する
答えの [0, 4, 7, 5, 2, 6, 1, 3] だけでは分かりにくいので、盤面として描いてみましょう。
def print_board(board):
n = len(board)
for row in range(n):
line = ""
for col in range(n):
line += "Q " if board[row] == col else ". "
print(line)
print_board([0, 4, 7, 5, 2, 6, 1, 3])
# Q . . . . . . .
# . . . . Q . . .
# . . . . . . . Q
# . . . . . Q . .
# . . Q . . . . .
# . . . . . . Q .
# . Q . . . . . .
# . . . Q . . . .
- どの行・列・斜めにも2個以上のQがないことが目で確認できます。
別パターン2: 解の総数を数える(集合で高速判定)
is_safe のループをやめて、「使用済みの列・斜め」を集合で持つと、判定が O(1) になります。全解を数える定番の書き方です。
def count_queens(n):
count = 0
cols = set() # 使用済みの列
diag1 = set() # 右下がりの斜め (row - col が同じ)
diag2 = set() # 右上がりの斜め (row + col が同じ)
def solve(row):
nonlocal count
if row == n:
count += 1
return
for col in range(n):
if col in cols or (row - col) in diag1 or (row + col) in diag2:
continue
cols.add(col)
diag1.add(row - col)
diag2.add(row + col)
solve(row + 1)
cols.remove(col) # 戻すのを忘れない
diag1.remove(row - col)
diag2.remove(row + col)
solve(0)
return count
print(count_queens(4)) # 2
print(count_queens(8)) # 92
- 同じ右下がりの斜めにあるマスは
row - colが等しく、右上がりはrow + colが等しい——この性質で斜めを1つの数字で表せます。 - 「置く(add)→ 進む(solve)→ 戻す(remove)」の3点セットがバックトラッキングの型です。
バックトラッキングの考え方
8クイーンで学ぶ「ダメなら戻る」は、いろいろな探索問題に応用できます。
- 選ぶ: 候補を1つ選んで状態を進める
- 試す: 再帰で次の段階へ進む
- 戻す: 失敗したら選ぶ前の状態に戻して、別の候補を試す
数独ソルバー、迷路の全経路列挙、ビット全探索では間に合わない大きな組み合わせの枝刈り探索など、多くの場面でこの型が登場します。
よくあるミス
| ミス | 何が起きるか | 対処 |
|---|---|---|
| 失敗時に状態を戻し忘れる | 置けるはずの場所が「使用済み」のままになり解が見つからない | add と remove を必ず対で書く |
| 斜めの判定を1方向しかしない | 斜め衝突を見逃した「解」が出る | 右下がり(row-col)と右上がり(row+col)の両方を見る |
最初の解で return True し忘れる | 全部探索して遅くなる(1つだけ欲しい場合) | 見つかったら即座に True を伝播させる |